申し渡し文

大目付 深谷遠江守様、阿部伊勢守様の申し渡し、諸向(関係各位)へ伝達の書き付け書。

近年 打ち続き物入りも多く、ことに異国船が度々来航し、その備え向き等の用途も

甚大なものとなっており、その為に御倹約のお達しが出されている折柄ではあるが

御旗本、御家人など家計逼迫し困窮の趣である旨、(お上は)お聞き召され格別の

思し召しにより、一万石以下の御旗本の面々、また御家人にまで増食(給与を上げる)を

仰せ付けるものである。小給の者(給与安き者)に至っては、末々に至るまで きちんと

養うようにとの仰せである。各々方は(お上の)格別の御仁恵を蒙る以上、かねて仰せ

ある通り非常時に備え武備への心がけに専念し、益々 質素倹約を用いて 武着なども

贅沢をいたさず、分限(収入)に応じ堅実に行うように。万一 常の備えがあるものは、

緊急対応の品もあるかと思われるが、くれぐれもお上の注意に反することなく備えておくように。

右の通り 一万石以下の面々に告げるものである。

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