日本、韓国、中国など東アジアに多い難病「もやもや病」にかかりやすくなる遺伝子(感受性遺伝子)を京都大の小泉昭夫教授(遺伝疫学)らのグループが初めて特定。米国の科学誌プロスワン電子版に20日掲載された。
もやもや病は大脳の動脈が細くなり、脇道のように毛細血管網が発達する病気。血管造影すると、血管網がもやもやとした煙のように見えるところから命名された。脳の血流不足から手足の力が抜けたり、言葉がうまく話せないなどの症状がでる。日本で約1万3000人の患者がおり、韓国、中国にも多く、白人やアフリカ人は少ない。
研究グループが3世代にわたって患者がいる日韓の42家系を調べたところ、発症者の全てで「RNF213」という遺伝子の一部が変化していることが分かった。この遺伝子は頭蓋(ずがい)内の血管の発達に関わることも確認できた。さらに各家系に共通する染色体に着目し、変異の確率などを基に世代の数を計算すると、約760世代前(推定1万5000年前)に共通の祖先を持つことも分かった。
小泉教授は「感受性遺伝子を持つ人全員が発症するわけではなく、東アジアに共通する外的な要因(環境因子)もあると考えられる。3カ国が協力し、予防や治療につなげたい」と話している。【榊原雅晴】
毎日新聞 2011年7月21日 大阪朝刊
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