柏   原(カシハラ・カシワハラ・カイハラ)

解説

和名抄 大和国葛上郡、駿河国駿河郡、上総国長柄郡、

近江国伊香郡、播磨国佐用郡、肥後国菊池郡に柏原郷あり、

庄名としては、近江国坂田郡、丹波国氷上郡にあり。

その他 諸国にこの地名存す。(65ヶ所あり)

この氏はこれらの土地より起りしにて、数流あり。

奈良県御所市、和歌山県橋本市、宮崎県宮崎市にこの地名あり。

尚、岐阜県益田郡小坂町のは「ガイバラ」と読み、高知県高岡郡

佐川町のは「カショウバラ」と読む。

分派氏族

 

1,橘姓 大隅国囎唹郡の名族なり。橘姓にして、薩摩守公業の後裔なりと云う。

       室町時代、柏原備前守橘公資あり。文明十六年、島津氏の命を受けて、

       本郡霧島六所権現を中興すと云う。その後、慶長四年 伊集院忠真 謀叛

       の時、柏原周防守公盛は、松尾城を守ると云う。

       系図に「橘姓、家譲名字は、公、囎唹郡大崎より、高山に移居す。初代

       善右衛門−善左衛門−主水−公東−公常−公嘉−公安−武平太−公春

       −貢−千春」と。

       又、「橘姓、家譲名字は、公、初代内匠正−公喬−公貞−公喜−公隆

       −公布−公富−公倫−公欽、この柏原氏、定紋は 前柏原氏と共に剣菱

       と云う」と。

2,赤松氏流 播磨国佐用郡柏原郷より起こる。赤松氏の族にして、且つ、その

       配下の将として有名なり。赤松系図に

       「頼則−宇野新大夫為助−孫太郎為頼−為永(柏原弥三郎)」と。

3,丹波の柏原氏− −当国氷上郡に柏原郷あり。この地名を名乗りしもあらん。カイバラと読む。

4,越後の栢原氏 − − 上杉家臣にあり、長尾系図謙信様 御分城持侍大将衆に栢原壱岐守あり。

5,清和源氏宇野氏流 − − 大和国高市郡橿原より起こる。宇野左馬頭親家の裔なりと云う。

6,清和源氏頼平流 − − 近江国坂田郡の柏原庄より起こりしならん。

       源満仲の男 頼平の後にして、尊卑分脈に「頼平(武蔵守、大蔵権大夫)−頼盛(柏原、

       伊豆守)−盛実(号 柏原)」とあり。

7,但馬の柏原氏 太田文に「朝来郡新井黒川保拾七町、地頭 栢原左衛門二郎」

       又、「物部上庄云々、本院御領、八條院御紙田、五町七反百四十歩、

       地頭 柏原左衛門三郎恒俊」とあり。

8,丹党 武蔵国入間郡柏原村より起こる。武蔵七党系図、丹党にこの氏を収む

       れど、その系なし。蓋し、小島、志水の族なるが如し。

       「文治五年、頼朝 奥州征伐の際に柏原太郎と云う者あり、畠山重忠に

       従軍する五騎の一なり」と。

9,他


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